Investment Story
日本プライベートエクイティ株式会社(以下、「JPE」)は、今般、病院や学校、ビル等の清掃、警備保安、設備管理業務を展開する株式会社ニック(本社:東京都板橋区)のオーナー経営者一族が保有する株式の全株をJPEで運用する、中小企業・小規模事業者向け事業承継支援ファンドを通じて譲り受けました。JPEは、東京都を主たる出資者とする事業承継支援ファンド「TOKYO・リレーションシップ1号投資事業有限責任組合」(以下、「TOKYOファンド」)を運営し、東京都内の中小企業・小規模事業者のオーナー経営者が抱える“事業承継”と“存続発展”という課題の解決に取り組んでいます。本件も、TOKYOファンドによる都内中小企業への投資支援事例であり、事業承継問題に悩む中小企業のオーナーから株式を譲り受け、新たな株主として、資本面・経営面からの支援を行い、社員の皆さんと共に、さらなる成長発展の実現に取り組みます。
今回、株式を譲り受けた、株式会社アソシエ・インターナショナル(以下、「同社」)は、東京都目黒区、港区を中心とした都心部に、認可保育園をはじめとした、さまざまな形態の保育サービス施設を合計26ヶ所で運営、業歴28年を誇る、地域に密着した子育て支援のリーディングカンパニーです。
同社は、1991年、創業者である和田惠里子氏が東京都目黒区に自宅も兼ねた24時間の保育室と幼児教室を4人で開設。以降、保育を事業として成り立たせることが容易ではなかった時代を乗り越え、2002年に初めて東京都認証保育所を開設し、その後も、放課後学童クラブ、一時預かり施設の受託、子育て広場、病後児保育室の運営といった保育・子育て支援施設を展開、2017年にはバンコクで日本企業が出資する幼稚園としては初の学校法人となるインターナショナル幼稚園を開園しています。
こうして、約28年にわたり、堅実に事業展開を図ってきた同社ですが、昨今の待機児童問題を背景とする社会的な要請、同社が展開する質の高い保育を求める保護者の声、地域住民の後押しを背景に、さらなる事業拡大が求められるなか、オーナー企業として、「事業承継問題の解決」と「中長期的な視点での成長戦略の実現」が喫緊の課題となっていました。
そうしたなか、オーナー経営者として“資本と経営の継承”を同時かつ円滑に実現するには、“事業承継支援ファンド”を活用することが最善の策であると判断。さらに、保育という公共性の高い事業を展開する同社にとっては、JPEが運営する「TOKYOファンド」の活用が、“アソシエ”というブランドや同社の保育理念や運営方針を堅持し、中立性や独自性を確保したうえでさらなる成長を目指すことができる、すべての関係当事者にとって望ましい方策であると考えて、TOKYOファンドの活用を選択されました。
「TOKYOファンド」活用による中立性、安心感、信用力の確保
本件において、オーナー経営者としては、自らの後継者に社内の人材を登用することで、これまでの保育理念や運営方針が維持され、“経営の承継”は叶うものの、親族外での承継ゆえ、資本(株主)を誰が担うかによって、経営の確実な承継が必ずしも担保されなくなる懸念がありました。特に、保育事業を営む会社としては、その公共性や中立性が維持できなければ、これまで良好な関係を築き上げてきた地域や行政、保護者、社員といった、会社に関わる関係当事者に不安を与えかねないといった懸念もありました。
そうしたなか、同社の新たな株主として選ばれた「TOKYOファンド」は、『東京都内の中小企業の事業承継と成長をファンドへの出資を通じて支援する』という施策の下で、自治体としての東京都が出資者となっているファンドであることから、オーナー経営者はもちろん、保護者や地域住民、社員にも安心感を与えることができるパートナーです。また、同社が、特定企業の傘下に入るのではなく、「TOKYOファンド」を株主に選んだことで、TOKYOファンドの出資者である、東京都はもちろん、その他の出資者である、きらぼし銀行、ゆうちょ銀行、西武信用金庫、城南信用金庫、株式会社フォーバル、東京信用保証協会といった中立的な組織や金融機関なども同社の応援団となることから、創業オーナーの個人企業であった時よりも、会社としての信用力は格段に高まることにもなります。