Investment Story
日本プライベートエクイティ株式会社(以下、「JPE」)は、今般、病院や学校、ビル等の清掃、警備保安、設備管理業務を展開する株式会社ニック(本社:東京都板橋区)のオーナー経営者一族が保有する株式の全株をJPEで運用する、中小企業・小規模事業者向け事業承継支援ファンドを通じて譲り受けました。JPEは、東京都を主たる出資者とする事業承継支援ファンド「TOKYO・リレーションシップ1号投資事業有限責任組合」(以下、「TOKYOファンド」)を運営し、東京都内の中小企業・小規模事業者のオーナー経営者が抱える“事業承継”と“存続発展”という課題の解決に取り組んでいます。本件も、TOKYOファンドによる都内中小企業への投資支援事例であり、事業承継問題に悩む中小企業のオーナーから株式を譲り受け、新たな株主として、資本面・経営面からの支援を行い、社員の皆さんと共に、さらなる成長発展の実現に取り組みます。
株式会社ニック(以下、「同社」)は、病院や学校を中心とした建物の日常清掃、定期清掃、特殊清掃といった清掃業務や警備保安業務、設備管理業務をワンストップで提供し、特に、東武東上線や西武線沿線を中心に事業展開しています。同社は、創業者でオーナー経営者の加藤和俊氏(現・相談役)が、ビルの窓ガラスや外壁清掃等の高所作業を行う会社として1977年に設立、以降、1986年から病院等の医療施設の清掃管理、1990年から大学等の教育施設の清掃管理を手掛けるなど事業を拡大、清潔で美しく安全な建物環境を維持するという使命の下、堅実で誠実な経営を40年以上も続け、清掃業務のプロフェッショナルとして、地域や顧客、業界にとって、なくてはならない存在となっています。しかし、同社が属するビルメンテナンス業界は、中小企業や小規模事業者で多くを占められており、昨今では、経営者の後継者問題のみならず、現場のスタッフの高齢化や人材確保も深刻化しつつあります。さらに、直近では、新型コロナウイルス感染拡大を受け、医療施設はもちろん、介護施設や教育施設等、人が集まる建物において安全安心な空間の確保が求められており、清掃業務に求められるレベルやニーズ、役割も大きく変わりつつあります。こうした環境下で、同社が、今後も、マーケットが求める清掃業務へのニーズを“質”と“量”ともに満たし続けるためには、後継者不在という課題の解決に加え、次のステージを意識した事業展開や組織経営への移行が不可避となっていました。
同社において、「事業承継の円滑な遂行」と同時に、「事業基盤の強化・拡大」、「組織経営への移行」といった課題を同時に解決し、さらなる成長を実現するためには、同業者へのM&Aによる売却・譲渡ではなく、“中立的”であり、“社員を主役に据えた経営”を目指す、JPEの“事業承継支援ファンド”の活用が最善の策であると、加藤社長(当時)は、創業者として、また、オーナー経営者として判断し、決断をされました。特に、同社は、創業時から地元の板橋(大山)を基盤として、事業を永く営み、地域や業界においても、知名度やブランドを有することから、東京都をはじめとした、東京という“地域”を支援する出資者により構成される「TOKYOファンド」が新たな株主となることは、社員や顧客をはじめ、同社の関係当事者全員にとって前向きに受け止められる選択肢でもありました。JPEでも、2000年の会社設立以降、20年にわたり、本件を含む33社の中小企業の“資本と経営の承継”を支援してまいりました。本件も、創業者として、また、オーナー経営者として、加藤相談役が40年以上にわたって築き上げてきた“共生”という企業理念、そして、社員や職場スタッフの仕事への真摯な取り組み姿勢、地域の企業としての発展性、さらには、事業としての将来性を高く評価し、社員の皆さんと共に“第二の創業”を実現したく、投資を実行しました。
本件、TOKYOファンドが選ばれた詳しい理由・背景については、お知らせのリリース文に詳しく記載していますので、ぜひご覧ください。
株式会社ニックへの事業承継支援投資を実行しました。